まなじりでこらえてゆく雪の隘路で

私は幾たびきみをくぐるのだろう


世界があまりに溺愛するので

かえって私たちは見失われ

招いたはずの饗宴の食卓にならび

彩色の衰えてゆく気配に酔いながら

存分に貪られるのもまた私たちだ


乾く唇で言葉を凍らせながら

けたたましさ静けさに昂ぶり萎える暗がりを

繰り返し行き 戻る 行き戻る

約束のように 裏切るように


目覚めれば慰めではない

ましてや未来であろうはずもない

変節かと見まがう一日が白み始めるだろう


太陽が唐突に傾いで

きみの背が春めいている

鳥形山 3